地元の自然薯を1本、1万円で売る

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 いわき市遠野町の農業法人「株式会社いわき遠野らぱん」の代表取締役を務める、平子佳廣(たいらこ・よしひこ)さんは、もともと鉄筋工事の会社を経営していた。小泉純一郎内閣以来の公共事業の削減から、新たな事業として選んだのが農業だった。社名に入っている「らぱん」はフランス語でウサギを意味する。遠野町ではかつてウサギ狩りをするマタギを業とする人々がいたことに因んでいる。

 東日本大震災後に、農業法人が製品化したのが地元の自然薯(トロロイモ)だった。地元の杉材で長さ1メートルの木箱を作り、地元産の和紙で包んだ。自然薯は、1本1キログラムから800グラムのものに限った。自然薯の生産の2割程度しか採れない上物である。

 東京・日本橋の高島屋に販売を委託すると、1箱1万円の値付けで、初年度に300箱が完売した。3年間はこのペースで売り上げたが、地元の自然薯を取りつくした。

 平子さんはいま、地元のブドウと山梨産を交雑した品種のワインや、地元産の果物のジャムなどの製品化に取り組んでいる。